僕の平成オナペット史

少年からおっさんに至るまでの僕の性欲を満たしてくれた、平成期のオナペットを振り返る

忘れていたオナペット~石川佳奈編~

 自慰用素材を探す手段をもっぱら雑誌媒体に頼っていた頃、僕はいつも駅の売店やコンビニでヤングサンデーの表紙をチェックしていた。競合誌がメジャー級のグラビアアイドルを起用するのに対して、ヤンサンは素人っぽさを残した新人がいきなり巻頭を飾ることがあり、二〇〇一年の山吹美奈斗(鍵山由佳)がその例だ。巻頭や巻末のグラビアだけが目当てで、定期購読でもなかったので、掲載作品はほとんど読まなかった。


 この年は山吹のほかに、石川佳奈がヤンサンでグラビアデビューを果たした。ヤフオク!に出品されている当該号の表紙を見て、僕はこれを買ったことをすぐに思い出した。石川は十五歳とまだ中学生だったが、ビキニブラ越しに見える両胸の立体感に劣情が掻き立てられ、抑えきれぬ性欲を発散せずにはいられなくなった。巻頭と巻末の十二ページ立てで、水着の布面積が大きくても性的想像力を働かせるのに何ら問題はなかった。


 当時のグラビアアイドルは、雑誌での数ページの掲載から写真集を発表するのがお決まりのパターンだったが、石川も〇一年五月にデビュー作「kana」を発表。帯には「ピッカピカの16歳!」とあるが、石川は四月生まれなので撮影時は十五歳の中学生だったはずだ。今でいうジュニアアイドルだが、布面積の小さい水着を着せられたり、性行為を想起させる仕草を見せたりするわけでもなく、極めて健全な仕上がりの作品だった。


 石川はその後も雑誌グラビアの仕事をもらい、ヤンサンの巻頭にも再び登場。僕も大変お世話になったが、石川のような高校生世代のグラビアアイドルが次々とデビューしてきて、写真集も発表するようになった。僕はそれを買い求め、使用頻度が少なくなったのは古書店行きとなった。「kana」もその一つで、気がついたら手元になくなっていた。小倉優子とデビュー時期が重なるが、彼女に比べて自慰回数が伸び悩んだのは、表情や衣装がどこか単調だったからだと思う。


 石川は映画やドラマの端役をもらって芸能界に籍を置いていたが、〇七年一月に約六年ぶりとなる二作目の写真集「jewel」を発表。すっかり大人の女性の雰囲気を醸し出している表紙に、僕は戸惑いを覚えながらも、かつてのオナペットだった義理を果たすためにそれを購入した。その頃の自慰用媒体はすでに映像作品にシフトし、石川のセクシー路線は僕の性的嗜好とシンクロせず、二、三回使っただけで古書店送りとなった。


 今思うと、石川のグラビアアイドルとしてのポテンシャルは小倉よりも高かったのではないか。にもかかわらず、石川の知名度が上がらなかったのは、一作目の写真集を発表してからの方向性が、僕のような彼女を自慰用素材とする消費者に伝わらず、以後のグラビアも一作目の焼き直しだったことが、長くつなぎ止められなかったからだと思う。何も露出度を高めることを求めておらず、高校生世代の健康的なエロチシズムをもっと前面に生かしきれていれば、小倉よりも大成していたかもしれないだけに残念だ。