僕の平成オナペット史

少年からおっさんに至るまでの僕の性欲を満たしてくれた、平成期のオナペットを振り返る

DVDからダウンロードへ

 二〇〇八年以降、僕は経済的余裕のなさで新品のイメージビデオ(IV)をほとんど買わなくなった。一二年七月に大竹愛子の「哀愁シネマ」を買ったのが最後だ。僕は大竹のデビュー作「NEW KISS」が欲しかったが、発売当時は生活に窮していたため手を出せなかった。六作目となる「哀愁シネマ」は、プロとしてすっかり性的露出に慣れてしまい、何の恥じらいも感じられない大竹の演技に、僕は激しく落胆したと同時に、やはりデビュー作を買っておけばよかったとほぞを噛んだ。
 DMM.com(以下DMM)がグラビアアイドルの動画配信を行っているのを知ったのはその年で、写真集からIVへとシフトし始めた〇五年と同様、僕の自慰用素材が記録媒体から動画配信に替わる節目の年だった。旧作なら約千円で買える安さと、運営会社が経営破綻さえしなければ無期限でダウンロードを繰り返せる便利さに、四千円近くもするIVをわざわざ買う必要はなくなった。買い替えたノートパソコンがディスクドライブ非搭載だったのも、DVDからダウンロードへの移行を急がせた。
 一二年九月、アカウント登録して初めて購入したのが、りょうかの「Angel Kiss ~初めての夏~」だ。りょうかはお菓子系の雰囲気を醸し出した美少女で、僕はその作品のサンプル画像だけで射精してしまうほど、彼女の虜となった。体操着の上下をたくし上げ、ビキニを露出するジャケット写真に興奮しないはずがなく、僕はそのチャプターとピンクのワンピース水着のチャプターで昂る性欲を発散した。もし三十歳前後にりょうかと邂逅できたなら、週末は一日四、五回自慰にいそしんでいただろう。
 十五歳でデビューしたりょうかは、人工的で不自然に垢抜けることなく、そこらへんにいそうな素朴で健康的な佇まいを保ちながら、いくつかの作品を残した。今では検索エンジンで「りょうか」と入力しても、彼女のグラビアイドルとしての活動の痕跡はオークションサイトに出品されているIVのジャケットでしか窺い知ることができない。僕は「Angel Kiss 」のほかにも、「ほいっぷくりーむ」と「りょうか色」を視聴した覚えがあるが、ウィキペディアにもりょうかのページがないので、各作品の発売年月が把握できない。
 りょうかの活動当時の動画は、今でもYoutubeの所属プロダクション(マイカンパニー)のチャンネルで見られる。デビュー作のIVを発表して十年経ったにもかかわらず、それを告知する動画がウェブ上に残っているのを、果たして当の本人は知っているのだろうか。すでに芸能界から足を洗っているであろう元グラビアアイドルの過去の動画が、違法アップロードではなく、元所属先の公式動画として現在進行形のタレント志望の生ぬるい動画と一緒くたにされるのは、十五歳から人前で水着姿になって芸能活動をしてきたりょうかに、あまりにも失礼ではないかと思う。